原子力委員会のメルマガに驚いた
原子力委員会の秋葉委員が、メールマガジンで「専門家への信頼について」という一文を寄せています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/2013-0130.html
この文章に、驚いたというか、ショックを受けました。
秋葉委員は、原子力学会が実施した専門家(原子力学会の役員、あるいは元役員、部会長などの役職にあった人)へのアンケートに対する回答に、驚いたそうです。
秋葉委員が驚いたのは、なぜ福島第一の事故を防止できなかったのかという問いに、「TMIやチェルノブイリ事故からの教訓をもっと真摯に学ぶべきであった。しかし、これらの事故は別世界の出来事のように取り扱われた」「安全性に問題があると思われては困るとのことで、安全研究を歓迎しない雰囲気があった」「関係者すべてがIAEAの5層の深層防護の要件を軽く見ていた」などという意見を持つ人がいること」でした。
この文面からは、単にそうした意見があったことに驚いたのか、そういう意見を持っている人が多いことに驚いたのか、内部から批判がでたことに驚いたのか、驚いた理由はよくわかりません。
でも私は、2年前から出ている反省話に、原子力委員会の委員が今になって驚いていることに驚きました。
さらに秋葉委員は、次のようにも書いています。
「私たち(学会)のどこに問題があったのか」という問いに対しては「安全性に対する慢心、現状に対する自信過剰、謙虚さの欠如」「原子力学会に専門家集団としての信頼に足るだけの力量がなかった」「安全神話に対して、原子力学会は伝統的に批判的感度が鈍かった」という意見を持つ人がいることに、愕然(がくぜん)としました。
秋葉委員の文章からは、なぜ愕然としたのかはわかりません。学会の中にこうした問題があったことに愕然としたのか、こうした批判をする人がいたことに愕然としたのか。。。
たぶん前者ではないかと思いますが、ここで書かれていることも2年前の事故直後から出ていた話です。
なので、今頃になって愕然としていることに、私は愕然としました。
原子力委員会は、国会承認を受けた5人の委員からなる独立機関です。これまで原子力行政の方向性を決め、旗振り役の中心を担ってきました。その委員のひとりが、事故から2年もたった今になって上記のような認識を示しているのは、まさに「感度が鈍い」ということになるのではと思います。
原子力委員会公開資料。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/index.htm
事故から2年、国の原子力政策について大きな力を持つ原子力委員会の委員は、残念ながらあまり変わっていないとしか思えません。