漏洩した汚染水をすでに4トン回収したが残り量は不明 汚染水に関する新たなサンプリング採取と分析の結果(東電メール)
東電から汚染水がタンクから漏えいした件についての連絡メールがきました。既にHPには掲載されています。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2013/1229852_5117.html
すでに会見で説明のあったH4エリアの濃度以外に、沈砂池、コア倉庫というところで核種分析をしていたことがわかります。これらが発電所内のとこにあるのか、メールには説明がありません。いずれにせよ東電は午後3時の時点で、H4エリア以外の場所での漏えいを想定し、線量の高いH4エリアより先に分析を実施していたということです。こうした説明は、午後5時半からの会見ではまったく説明されませんでした。
しかしこの発表でも、原子力規制庁が指摘した土のう外側の汚染は触れられていません。土のう外側は一般排水路に近いため、もし汚染水が確認されると海に出た可能性が出てきます。東電は海への流出を否定していたので、規制庁の見解とは真逆です。
ちなみにH4エリアの漏洩量は、すでに回収しているだけで4m3、つまり約4トンになります(塩分濃度が高いので実際はもう少し重量は重いかもしれません)。そして残念ながら、残りがどのくらいなのかは、ここでも触れられていません。そのため漏洩量の全体像はが明らかではありません。
東電が漏洩の総量をどう認識しているのかは、定かではありません。とはいえ、発生から12時間以上が経過しても全体像が見えず、発生から7時間後の会見では第一報のメール以上に詳しい内容はほとんどなく、「確認する」という言葉が繰り返されるようでは、東電に事故対応能力があるとはとても思えません。
漏えいの場所はまだ、特定できていないようです。
H4エリアは事故後、わりと早期にタンクを設置しているためタンクの劣化も心配です。もし劣化が漏えいの原因であった場合、同エリアのタンクを入れ替える必要が出てきます。といっても、中身の汚染水を抜いてからでないと作業はできません。そしてタンクの交換は、タンク計画を一気に逼迫させることになります。
こうした可能性について東電は、まだ何も説明していません。タンクの劣化は東電内でも心配事であるはずなので、本来は昨日の会見でタンク設置時期の質問が出た時に、すぐに回答があってもいいのではなかったかと思います。その意味でも、昨日の会見の情報量の少なさは、異様な印象を受けました。
以下、転載です。
○福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンク堰のドレン弁から水が出ている
ことについての続報です。
○8月19日午後7時から堰内に溜まっている水の回収作業を開始しました。水の
回収については、仮設ポンプにて仮設タンクに汲み上げるとともに、堰内に吸
着材を設置しました。同日午後11時頃までに回収された水は約4m3です。
○また、これまでに分析を行った水の核種分析結果は以下のとおりです。
<H4エリアタンク漏えい水(採取日時:8月19日午後4時)>
セシウム134 :4.6×10^1Bq/cm3
セシウム137 :1.0×10^2Bq/cm3
ヨウ素131 :検出限界値未満(検出限界値:3.1×10^0Bq/cm3)
コバルト60 :1.2×10^0Bq/cm3
マンガン54 :1.9×10^0Bq/cm3
アンチモン125:7.1×10^1Bq/cm3
全ベータ :8.0×10^4Bq/cm3
塩素濃度 :5200ppm
<沈砂池(採取日時:8月19日午後3時10分)>
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:2.0×10^-2Bq/cm3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:2.6×10^-2Bq/cm3)
ヨウ素131 :検出限界値未満(検出限界値:1.3×10^-2Bq/cm3)
コバルト60 :検出限界値未満(検出限界値:1.3×10^-2Bq/cm3)
全ベータ :4.1×10^1Bq/cm3
<コア倉庫前側溝水(採取日時:8月19日午後3時)>
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.9×10^-2Bq/cm3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:2.7×10^-2Bq/cm3)
ヨウ素131 :検出限界値未満(検出限界値:1.0×10^-2Bq/cm3)
コバルト60 :検出限界値未満(検出限界値:1.4×10^-2Bq/cm3)
全ベータ :1.3×10^-1Bq/cm3
○なお、コア倉庫前側溝水については、本日も引き続き分析を行うとともに、
当該側溝と繋がる海水についても本日分析を行う予定です。
○また、堰外の土壌については、本日朝から除去作業を行う予定です。